「結いの息吹」のこと

updated : 2016.04.30

私が強く、思っていること。

「感覚と、感情を、大切にすること。」

ひとそれぞれに異なる ”感覚” と ”感情” を、
それぞれが大切にしながら、皆で共に過ごすことのできる、
希有な機会が、ここにはある。と、改めて感じました。

2016年4月24日、京都府南山城村・旧田山小学校で開催した、「結いの息吹」。
お越し頂いたみなさま、ご興味持って頂いたみなさま、本当にありがとうございました。

私の作品「かけがえのない」を録音したまさにその場所で、録音してくれた田辺玄さんと、音楽を奏でられることの尊さに、改めて感謝いたします。

そしてここは、学び舎ゆえに、記憶がくすぐられ、何か学ぼうとする意識が自然にはたらくようにも思います。

普段、つい忙しく生活している中では意識しにくいことを、
このように自然と再発見できる機会があれば、
また新たな思いで進んでゆけるのではないか、と思います。
それを思い出させてくれる場所と人の存在に、改めて感謝しています。

周囲と共に音楽を奏でることによって、
人や場所や目に見えないものの存在さえも、
なんだって共に在るのだ、ということを改めて自覚する時間。大事にしていきたいです。
ごく当たり前だけど、忘れてしまいそうなことを思い出せる時間を
みんなで一緒に過ごすことが、とても必要だな、と思うのです。

音楽を介して、さまざまな気配に心をひらいて、ただただ佇む、ゆったりと過ごす、そんな時間に身を置くことで生まれる新しい思い出を、これからも大事にしていきたいです。


この日の思い出を、綴ります。

y070

FOOD WORKER FUNAKIさんのお弁当。「おいしい」の感覚を新発見する喜び。彩りも美しい。みんな少しずつおかずが違っていて、自然と会話が生まれ、違いをともに楽しむきっかけに。満腹でごちそうさまです。

yui05

お昼ごはんのあとは、ゆったりとしたおしゃべり、お散歩、
お隣の教室の、カフェねこぱんにも訪れて下さるお客さまもいらっしゃって。

のんびり のんびり、みんなで校庭へ。
田辺玄さんの導きで、みんなでまわりの音を聴く。
遠のく音を、近くの音を、しずかに聴く。
だんだんと、心が落ち着いてゆく。
風とともに、私は、歌を歌いはじめました。

教室に戻ってきたら、教室の天井に、菜の花の輪っかが、浮かんでいました。
菜の花の大きな花束とともに。
ka-ji-の、なんとも素直な季節のしつらえに、
一気にみんなの笑顔がほころぶ。

そのまま流れるように、ピアノを奏で、柔らかく穏やかに歌い、
体と心のなかに素直にすーっと入っていく心地になりました。
まわりに溶け出して 漂うように。
私は、ゆっくりと、音楽と、さまざまと、向き合えました。

休憩をはさみ、みなさんにプリントを配りました。
その様子はちょっと学校の先生になった気分でした。
みんなで、文部省唱歌「青葉」 の詩を一緒に朗読しました。
ほほえましいひとときでした。

そして、田辺玄さんのゆったりとしたギターの音色に、うっとりうたたね・・
自然に舞い込んで、一緒に私の新曲を2曲、演奏いたしました。

そして最後に、また、「琥珀涙」をみんなで歌いました。

始終、あたたかで 穏やかなときに包まれて ほどいていけた時間でした。

たっぷりゆったり過ごしたお客さんと、演奏者・スタッフは、
気づいたら、みんなひとつの学級に学んだ同級生のように。

一緒に食べて、一緒に聴いて、一緒に声を出し、歌い、笑った。
そして生まれた、みんなの息吹。素晴らしかったです。
ほんとうにありがとうございました。

この演奏会は、これからも続けていきたいと思います。
またみなさん、お会いしましょう。


旧田山小学校での思い出)
作品「かけがえのない」
2013年4月 録音
2014年3月 発売
2015年4月12日 演奏会「かけがえのないなかで」を開催
2016年4月24日 演奏会「結いの息吹」を開催


写真:シノハラトモユキ、梅田唯史
音響:甲田徹
装飾協力:ka-ji-
お食事:FOOD WORKER FUNAKI
企画協力:熊谷充紘 (ignition gallery)

演奏:西森千明、田辺玄