音の記録 – 2016.06.19 at 月の温(四日市)

updated : 2016.06.22

2016年6月19日、三重県は四日市の素敵な蒸しぱん屋さん「月の温」にて、開業9周年記念に演奏させていただきました。懐かしい民家の、たたみの部屋で、yu kawaiさんのろうそくの灯りがともる中。その演奏の音を記録しておりましたので、SoundCloudにて公開いたしました。下記よりご試聴ください。

普段は、ピアノを演奏しますが、この日は、お気に入りの、ベージュ色の”ウーリッツアー”と、歌で、演奏させていただきました。1960〜70年代のビンテージのエレクトリックピアノである”ウーリッツアー”は、ピアノのように、ハンマーで弦をたたく構造になっています。そうして発する音を、電気信号に変えて奏でられる音色は、まるみを帯び、くぐもっていて、私の歌声と通ずるものがあるのかもしれません。不思議と親近感を感じます。古い楽器ですので、時折、電気の雑音(ジーー、プチプチ・・・)が混ざり、ビブラートという、音が、ゆらゆら、と揺れる効果の、大きなつまみだけがついている、愛らしい楽器です。それに、ループマシンというエフェクターを通し、奏でる音と歌声をだんだんと重ねてゆく演奏をいたしました。自分の発する音が重なってゆく様子は、なんとも言えない浮遊感があり、興味深かったです。まず、ウーリッツアーの、プラスチックで出来ているカバーを、ノックするように、コン・・コン・・とたたいて、リズムにして、演奏をはじめています。

音のゆらぎとともに、炎はまたたき、ゆらめいて。静かでたくましい佇まいに、私も呼応し、音が重なってゆきました。yuさんとは、様々に共演を繰り返してまいりましたが、改めて、空気を振動して伝わるもの同志である、音と炎の関わり合いに、深い感動を覚えました。

そして、あたたかかく見守ってくださる、月の温の浅沼真紀さん。わくわくするような組み合わせの蒸しぱんをたくさん作ってくれる、素晴らしい方。「好き」の素朴で素直な気持ちが、あたたかい。そして、そんな人たちが自然と集まるような、ほっと安心できる、素敵な場所でした。当日まで行われていた、yu kawaiさんのろうろくと、仙太郎下駄という、とても履きやすい下駄の展示とも通ずるのです。ふんわりやさしい、人と、蒸しぱんがあって、私たちの生活になじむような品々があって、私の音楽もそのように佇んでいられたら、と思うのでした。

演奏会当日は、松阪市の美味しい美しい中華料理店「restaurant cultivate」さんが作ってくださった具材の、蒸しぱんバーガーを、お客さまにお召し上がりいただきました。鶏肉の甘辛煮か、レンズ豆のコロッケを選べたのですが、どちらも本当においしく、ボリュームも満点で、大満足でした。たたみの部屋で、みなさん楽しくはつらつと、美味しく過ごしてくださったあとの、眠りにつく前のような静かな演奏をさせていただけたこと、とても嬉しく思っています。

また、ウーリッツアーなどを運搬するために、たくさんの方がご協力してくださいましたこと、改めて感謝申し上げます。

本当に、本当に、ありがとうございました。

月の温

yu kawai

仙太郎下駄

restaurant cultivate